円を助け、ユーロをシバく!――日米協調介入に隠れた政治メッセージ

引用元野村証券フィナンシャルタイムズU.S. Department of the Treasury

円安がついに、日米両政府を動かしました。今回の協調介入で、日本はドルを売って円を買いました。

おはこんばんにちは!力学観測研究所のRYOです!

アメリカはドルではなく、ユーロを売って円を買ったと報じられています。

つまり、円を助けるためにユーロをシバいたのです。

なぜドルではなくユーロなのか

アメリカがドルを売れば話は早い。

しかし、それではアメリカ自身がドル安へ誘導したように見えます。FRBの金融政策ともぶつかりかねません。

だからユーロを売った。

円は助ける/ドルは守る/日銀には利上げを押し付けない(内政干渉しない)

かなり行儀のよい(??)介入です。ただし、行儀がよすぎて不気味でもあります。

普通のアメリカなら、日本はもっと金利を上げろくらい言ってきそうなものです。

ところが今回は、日本の金融政策に口を出さず、自分で市場に入りました。

内政干渉というタブーを踏まず、実弾だけを撃ったのです。

日本を助けることは、アメリカ自身を守ることでもある

日本は大量の米国債を持っています。

円安がさらに進み、

円安で苦しい!自国ファースト!米国債叩き売りセール!

となれば、アメリカにとっても困ります。

日本が米国債を売れば、米国債価格は下がりやすくなり、金利は上がります。住宅ローン/企業の借入/政府の利払いにも響きます。

もちろん、日本にとっても自傷行為です。

自分で大量に持っている資産を叩き売れば、自分の資産価値まで落ちます。

だから米国債売却は、簡単には押せないボタンです。

でも、押せないボタンほど相手は気にします。

アメリカから見れば、

円は助ける。だから米国債には触らないでくれ

という意味もあったのでしょう。

日本を救ったというより、日本がキレる前に盤面を整えた。

アメリカは「キレた日本」を知っていますからね。

なぜユーロが巻き込まれたのか

問題はここです。

ドルを売れない事情は分かる。

では、なぜユーロだったのか。

実務的には、流動性が高く、アメリカが保有する外貨の中でも使いやすかった。それだけかもしれません。

ただ、今の国際情勢を見ると、少し意味深です。

イラン戦争をめぐり、欧州はアメリカに冷ややかな視線を送っています。

アメリカから見れば、

負担はあまり負わないのに、横から正論だけ言ってくる

と映っていても不思議ではありません。

そこでユーロを売り、円を買う。

日本には恩を売る/欧州には通貨安圧力/ドルは守る。

欧州への嫌がらせが主目的だったと断定はできません。

ただし、その副作用を知らずにやったとも考えにくい。

合法的な嫌がらせというより、合法的な含み笑いのようなもの。

日米同盟というより、互いに急所を握る関係

今回の介入は、

日米は同盟国だから助け合った?

だけでは説明が足りません。

日本は米国債を大量に持っている。

アメリカはドルと金融市場を握っている。

お互い、相手を傷つける手段を持っています。

だから相手を壊さない方法を選んだ。

これが今回の力学でしょう。

日本は円を守りたい。

アメリカはドルと米国債を守りたい。

そこでユーロが売られた。

欧州からすれば、なぜウチがシバかれているのか?

となります。

アメリカは、おそらくこう答えます。

「日本を助けただけだ。市場に聞いてくれ」

為替市場は、言葉を使わない外交の舞台

為替介入は、ただ通貨を売買するだけではありません。

何を売り/何を買ったか

その組み合わせ自体が政治メッセージになります。

今回の介入は、円を助けました。

同時にドルを守り/米国債を守り/日本に恩を売りユーロをシバいた。

一回の取引に、日米同盟/欧米関係/イラン戦争/市場心理まで折り畳まれている、ように観測できる。

政治ドラマ的作品なら、財務省の地下会議室で世界地図を囲みながら決めている場面です。

誰も本音を語らず売られた通貨と買われた通貨が、如何にもな外交文書になる。

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