おはこんばんにちは❗️力学観測研究所のRYOです❗️
「最近のクルマは高くなった😱」
安全装備が増え、半導体だらけになり、原材料も高騰し、円安もある。昔のクルマより高くなる理由はいくらでもあります。
ところが中古車市場まで見ると、話がおかしくなる。新車より中古車の方が高い。20年、30年前のクルマが最新型より高い。本来なら年式が古くなり、走行距離が伸びるほど価値が落ちるはずの工業製品なのに、なぜ価格が逆走するのか。
どうやら現在の自動車市場では、「価格」という一つの数字の中で、まったく違う複数の力学が動いている。
まず工場出荷の新車を基準値にする
話を単純化するため、メーカーから出荷される新車価格を基準値とする。
新車価格には車そのものだけでなく、安全規制/排ガス規制/衝突安全/電子制御/半導体/原材料/開発費/為替/物流費などが織り込まれる。
つまり、
新車価格 = 工業製品としての価値 + 現代で新車として売るためのコスト
となる。
しかも後半には不可逆的なものが多い。「高いからエアバッグを外す」「高いから衝突安全基準を1990年代へ戻す」とはいかない。メーカーが企業努力をしても、過去の規制環境には戻れない。
普通の中古車は普通に古くなる
一般的な中古車なら比較的単純だ。
中古車価格 = 年式 × 走行距離 × 車両状態 × 市場需給
人気、不人気、決算期、モデルチェンジ、燃料価格などでも動くが、基本は減価。古くなり、距離が伸びれば安くなる。工業製品としては正常な値動きだ。
人気車では「待たなくていい」に値段が付く
ところが現役人気車の中古車や新古車では別の力が働く。
アルファードやランドクルーザーなどでは、中古車価格が新車価格を上回る現象すら起こった。これは中古になったから価値が増えたというより、「今すぐ乗れる」という時間そのものに値段が付いたと考えた方が分かりやすい。
中古車価格 = 新車相当価値 + 即納価値 + 供給制約プレミアム
新車を注文すればメーカー希望価格で買える。しかし納車まで長期間待つ。ならば高くても目の前にある車を買う。ここでは中古車が「時間を買う商品」に変わる。
供給が正常化すれば、このプレミアムは基本的に剥がれる。
ネオクラだけ価格関数がおかしくなる
さらに古くなると、もっと妙なことが起きる。
普通なら、
年式↑ → 価値↓
のはずが、一部のネオクラシックカーでは、
年式↑ → 現存数↓ → 希少性↑ → 価値↑
へ途中から符号が反転する。
仮に、普通の中古車としてなら50万円程度の残存価値しかない車が、市場で1000万円になっているとする。
1000万円 = 50万円 + 950万円
では、後から乗った950万円は何なのか。
車種そのもののネームバリュー/希少性/映画やゲーム、モータースポーツによる物語/青春時代の記憶/海外需要/ロマン。
そして、もう一つある。
「昔の規制枠だからこそ成立した車」であることだ

昔の規制そのものが商品価値になる
昔の車は、現代車より安全性能も環境性能も低い。それ自体は明確な弱点だ。
ところが趣味の道具として見ると、その裏側には軽い車体/細いピラー/小さなボディ/電子介入の少なさ/独特のエンジン特性/現在とは異なる操作感などがある。
昔は規制が緩かった。
本来なら過去の話で終わるはずの制度環境が、後から商品価値へ変換される。
ネオクラ価格 = 残存実用価値 + 車種固有価値 + 希少価値 + 物語価値 + 旧規制枠価値 + 再生産不能価値 + ロマン
もう年式と距離だけ見て値段を説明するのは無理だ。
ネオクラは規制によって「曜変天目🍵化」する
骨董品には、古いから価値があるものだけでなく、当時と同じものを現在では容易に再現できないから価値を持つものもある。
曜変天目もその象徴的な存在だ。
ネオクラにも似たところがある。ただし、こちらは技術を失ったわけではない。メーカーには設計技術も製造設備もあり、部品精度なら当時以上のものを作れる。
それでも1990年代の車を、そのまま2020年代の新車として再生産することはできない。
安全/環境/騒音/歩行者保護など現在の規制へ適合させれば、同じ形、同じ重量、同じ音、同じフィーリングにはならない。
技術的に再現できないのではない。
昔の制度環境ごと再現できない。
現在の規制が、過去の工業製品を「曜変天目🍵化」している。

お祓いできないパラダイムゴースト
力学観測研究所では、過去には合理性があった制度や常識が、前提条件の変わった現在まで残っている状態を「パラダイムゴースト」と呼んでいる。
普通ならゴーストの存在に気付き、制度変更/業務改善/ルール変更などを行えば「お祓い👻」ができる。
ネオクラでは、そのカードが効かない。
ゴーストが組織の慣習ではなく、工業製品そのものに焼き付いているからだ。
しかも現在の規制が厳しくなればなるほど、現代車との差が拡大し、「昔にしか存在しない特性」が目立つ。
現在の規制強化↑ → 過去の規制環境との差↑ → 旧規制枠価値↑
ゴーストを消せないどころか、ゴーストそのものが資産になる。
最新型のライバルは昔の自分
ここまで来ると、自動車メーカーにとって妙な競争が始まる。
本来ならトヨタ対日産、ホンダ対トヨタといったメーカー間競争になるはずが、ネオクラ市場では「最新型スープラ✨vs昔のスープラ🔥」のような競争まで成立する。
最新型の方が速い。安全。快適。燃費も良い。保証まである。
それでも古い方を選ぶ人がいる。
しかも古い方が高いことすらある。
性能価値 = 市場価値ではない。
メーカーが最新技術を注ぎ込んで新車を開発している一方、競争相手の一人は自社が数十年前に作った中古車。しかもその古い競争相手が持つ「昔の規制環境」という武器だけは、現在のメーカー自身にも再現できない。
「中古車が高い」は一種類ではない
ここまで整理すると、自動車価格には少なくとも4種類の力学がある。
工場出荷の新車 → 現代の工業製品としての基準価格
現役人気車の中古車・新古車 → 「待たなくていい」という時間価値
一般的中古車 → 年式・距離・状態を中心とした穏やかな減価
ネオクラ → 希少性・物語・旧規制枠・再生産不能性・ロマンまで混ざるカオス市場❗️
特に面白いのは、「新車より中古車が高い」という同じ現象でも理由が正反対になることだ。
現役人気車は「未来まで待ちたくないから高い」。
ネオクラは「過去へ戻れないから高い」。
一方は時間を短縮する価値。もう一方は時間を逆行できないことへの価値だ。
さらに新車は「総額」が見えにくくなる
ここへ残価設定ローンが入ってくる。※いわゆる残クレのこと
車両価格そのものではなく、「月々○万円✨」で新車へ手を出せる仕組みだ。
安全装備、半導体、原材料、為替など、新車価格が上がる合理的な理由は確かにある。
しかし消費者が見る数字が車両総額から毎月の支払額へ移ったとき、メーカー側の価格設定に本当に何の影響もないのか❓
かつて携帯電話業界が高額な端末価格を月額負担へ分解したように、自動車も「総額への感覚」が薄くなれば、価格上昇に対する抵抗も変化する。
新車は高くなる。新車が高いから中古車へ流れる。人気中古車は即納価値で高くなる。さらに古くなった一部の車は、希少性と旧規制枠価値で高くなる。
かつて当たり前だった「古くなれば安くなる」という力は、車によってはもう働かなくなっていく。
クルマを選ぶとき、消費者は一体何にお金を払っているのでしょうか❓
車名でしょうか❓新しさでしょうか❓時間でしょうか❓
それとも、二度と戻らない時代そのものなのでしょうか❓
ところで、
曜変天目🍵は、時期によって藤田美術館でお目にかかれるかもしれませんよ❗
曜変天目研究特別展示
※2026年4月1日〜6月30日の「憧れの舶来品」で曜変天目を展示していましたが、次は2027年1月6日〜3月31日の特別展示「宙~宇宙遊泳~」で再び展示予定とのこと

※本記事では便宜上、新車と中古車を異なる商品市場として扱っています。メーカー・正規販売店から販売される新車は通常の新品販売だが、一度使用された、または使用目的で取引された車両を仕入れて販売する中古車取引は、古物営業法上の「古物」を扱う古物商の領域となります。つまり同じクルマでも、新車市場を離れ中古車になった時点で、価格を決める力学も「メーカーが設定する新品価格」から「古物市場で形成される市場価格」へと切り替わります。


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