AIはSNSやグループチャットから「機密文書」を盗まない❗情報の粒子を集める❗🤖

引用元:産経新聞

総務省がLINEヤフーに対し、「LINEポコポコ」などのゲームで利用者を識別する情報など約803万件を利用者に無断で外部へ送信していたとして、行政指導を行った。

LINEについては以前から情報管理を巡る問題が何度も指摘されている。今回のニュースを見て「やはりLINEは危ない」と思った人も多いかもしれない。

しかし、今回考えたいのはLINEそのものの安全性は、もちろん、

会社や組織が「どこまでを情報セキュリティとして考えているのか」となる。

おはこんばんにちは。力学観測研究所のRYOです。

表玄関は厳重なのに、勝手口は開いている

多くの会社では社給PCや社給スマホを厳重に管理しています。USBメモリは禁止、ソフトウェアのインストールも制限、アクセスログを残し、スマートフォンはMDMで管理する。これは当然のことであり、正しい情報セキュリティだと思います。

社外での会話にも気を遣います。ランチで仕事の話をするときには周囲を確認し、飲み会では酔って余計なことを話さないよう注意する。会社によっては研修でも繰り返し教育されているでしょう。

なのに、なぜか自分のスマートフォンに入っているグループチャットやSNSになると、急に警戒心が極小になりやすい。

物流会社なら「貨物が航空保安地域から出た」「○時頃に○○へ到着する」「積み込みが終わった」といった業務連絡まで、社員個人のグループチャットで行われていることがあります。

一つ一つを見れば、たいした情報ではないように見えるかもしれません。

しかし本当にそうでしょうか。

社給PCという表玄関には最新の電子錠と監視カメラを付けているのに、勝手口は開けたまま。その状態で「うちは情報セキュリティに力を入れています」と言われても、少々不思議な話です。

「みんな使っている」が安全性の根拠になる

それでも個人のグループチャットが業務に使われる最大の理由は、おそらく「みんな使っているから」です。

みんなLINEを使っている。今まで大きな問題は起きていない。周りの会社でも使っている。だから大丈夫だろう。

これは正常性バイアスに近いものではないでしょうか。

みんながマクドナルドを食べているからといって、マクドナルドが絶対的な主食になるわけではありません。みんながコーラを飲んでいるからといって、水の代わりになるわけでもありません。

普及していることと、その用途に適していることは別の問題です。

ところがコミュニケーションツールになると、この二つが混同されやすい。「みんな使っている」が、いつの間にか「業務で使っても大丈夫」に変換されてしまいます。

AI時代は5W1Hの断片にも価値がある

ここからが、今回もっとも考えたいところです。

従来の情報セキュリティでは、顧客名簿、設計図、契約書、パスワードなど、単体で価値を持つ情報をいかに守るかが重視されてきました。

しかしAIの能力が急速に高まった現在、本当にそれだけで十分なのか?

例えば「A社」「熊本」「14時」「搬出」「試作品」という五つの単語があったとします。

一つ一つを見れば、ほとんど意味がありません。しかし同じ会社から長期間にわたり、こうした5W1Hの断片が大量に集まったらどうでしょう。

誰が、いつ、どこで、何をしているのか。

人間が何万件、何億件もの情報を読み、関連性を探すのは大変です。しかしAIなら話が変わります。

大量の断片を比較し、似たパターンを探し、関連する公開情報と照合し、可能性の高い組み合わせを抽出する。最初はバラバラだった情報の点が線になり、やがて面になっていく可能性があります。

情報は一枚の「機密文書」として漏れる必要すらないのです。

情報の粒子から「雲」ができる

量子力学そのものとは違いますが、私はこれを確率的な「雲」のように考えています。

一回の観測では何も分からない。しかし同じ種類の現象を膨大な回数観測すると、どこに情報が集中しているのかが見えてくる。

情報分析でも同じように、何億もの断片を集めれば「この会社では、この時期、この場所、この人物の周辺で何かが動いている」という濃淡が現れる可能性があります。

そこで初めて人間が詳しく調べてもいいし、別のAIに追加分析させてもいい。

重要なのは、一つの情報から正解を当てる必要がないことです。

「この座標に何かありそうだ」という雲を見つけられるだけでも、分析する側にとっては大きな収穫になります。

管理者に必要なのは「その先」を想像する力

だから筆者は、これからの情報セキュリティで重要になるのは、技術だけではないと思っています。

管理者が「この情報は機密か?」と考えるだけでは足りない。

「この情報が別の情報と結び付いたら何になるのか」「この断片が100万件集まったら何が見えるのか」まで想像する必要がある。

事故が起きていないことは、安全であることの証明ではありません。今まで誰も、その情報を十分な規模で観測していなかっただけ

LINEが危険💀なのか、Teamsなら安全なのかという話というわけでもない。

今回のLINEのニュースは、ユーザーが「閉じた世界」だと思い込んでいる場所について、もう一度考えるきっかけにすればいい。

AIは必ずしも機密文書そのものを必要としない。

人間が「こんなものに価値はない」と思っている情報の粒子を集め、その間にある力学を読むことができる。

それが可能になった時代に、情報セキュリティを昔と同じ発想のまま運用していて本当に大丈夫なのでろうか?

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