【地震予測は占いなのか❓️】同じではない。だが、未来を読む力学はよく似ている

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おはこんばんにちは❗️力学観測研究所のRYOです❗️

「今後30年以内に、近畿地域のどこかで、マグニチュード6.8以上の地震が発生する確率は50~60%」

この数字を聞いて、今日から何を変えればよいのだろうか❓️

家具を固定していない人は固定する/水や食料を備蓄する/避難場所を確認する。

確かに、どれも正しい防災である。

しかし、それは今回の確率が50~60%になったから行うことなのか❓️/40%なら行わなくてよいのか❓️/70%なら水を何本増やせばよいのか❓️

N1年以内に、マグニチュードN2以上の地震が、N3%の確率で起きる。

N1、N2、N3にどのような数字を入れても、ニュースの結論はほぼ変わらない。

「日頃から地震に備えてください」

この構造を眺めていると、あるものによく似ていることに気づく。

占いである。

占いは、ただの思いつきではない

占いというと、水晶玉🔮を眺めて未来を受信するような、オカルトだけの世界を想像するかもしれない。

しかし、占いが「当たっている」と感じられる仕組みの一部は、超常的な能力を仮定しなくても説明できる。

その代表が、コールドリーディングである。

コールドリーディングとは、相手について十分な事前情報を持たない状態から、年齢/服装/話し方/表情/持ち物/反応などを観察し、可能性の高い推測を提示しながら、相手の反応によって内容を調整していく技法だ。

D・L・ダットンは1988年の論文で、コールドリーディングを、相談者の背景や問題について計算された推測を行い、その反応に応じて内容を発展させる過程だと説明している。

たとえば、占い師がこう尋ねたとする。

「最近、人間関係で少し距離を置いた人がいませんか❓️」

多くの人には、家族/友人/職場/近所/SNSなど、何らかの人間関係がある。「少し距離を置いた」の範囲も広いため、相談者は自分の経験の中から該当しそうな人物を探せる。

相談者が表情を変えたり、「実は職場で……」と話し始めたりすれば、占い師はその反応を次の材料にできる。

最初からすべてを知っていたわけではない。

推測を投げる/反応を観察する/情報を更新する/さらに具体的な言葉を返す。

これを繰り返すことで、相談者には「最初から見抜かれていた」ように感じられる。

なお、これは必ずしも、占い師が意図的に人をだましているという意味ではない。経験を積んだ占い師が、対人技術として無意識に身につけている場合も考えられる。占い師本人が、自分には本当に特別な力があると信じている可能性もある。

重要なのは、占いが当たって見える現象には、オカルト以外の力学が存在するということだ。

参照元:D. L. Dutton “The cold reading technique”

誰にでも当てはまる言葉が、自分だけの言葉になる

コールドリーディングの入口では、バーナム効果も働く。

バーナム効果とは、多くの人に当てはまる曖昧で一般的な説明を、自分だけに向けられた正確な説明だと受け取りやすい心理現象である。

「人から明るく見られることがありますが、一人で考え込むこともあります」

「自分には、まだ十分に生かし切れていない能力があると感じています」

「自分の判断が正しかったのか、後から考えることがあります」

どれも、かなり多くの人に当てはまる。

しかし、「これはあなたを分析した結果です」と渡されると、人は当てはまる経験を自分の記憶から探し、その文章を自分専用の説明として完成させる。

心理学者バートラム・フォアは1949年、学生に性格検査を実施した後、個別に分析したように見せて、実際には全員へ同じ性格記述を渡す実験を行った。それでも学生たちは、その記述を自分によく当てはまるものとして高く評価した。

占い師が一方的に未来を作っているだけではない。

受け手も、自分の記憶や事情を使って、占いの言葉を完成させているのだ。

参照元:B. R. Forer “The fallacy of personal validation”

地震学者も、地面に残された痕跡を読む

一方、地震の長期評価は、もちろん水晶玉を見て決めているわけではない。

気象庁によると、活断層の調査では航空写真/衛星画像/合成開口レーダーなどから地表の痕跡を探し、現地ではトレンチ調査や反射法弾性波探査などを行う。

トレンチ調査では、断層を横切るように地面を掘り、露出した地層から過去の活動を読み取る。反射法弾性波探査では、人工的に発生させた波が地下の地層境界で反射する様子から、地下構造を調べる。

地震の跡は、地層のずれとして残る。

過去に何回動いたのか/どの程度の間隔で動いたのか/最後に動いたのはいつか/断層の長さやずれ量はどの程度か。

その痕跡から、平均活動間隔や最新活動時期を推定し、統計モデルを用いて将来の発生確率を計算する。

参照元:気象庁「徳島県の活断層」

地震調査委員会の評価手法では、過去の発生履歴が分かる場合にはBPTモデル、最後に活動した時期が分からない場合にはポアソン過程などが用いられる。近年は、地質記録が持つ年代の幅や不確実性を扱うため、モンテカルロ法やベイズ推定も活用されている。

つまり、地震の長期評価も「地面を読んでいる」のだ。

人の表情や服装を読む占い師と、地形や地層を読む地震学者。

読んでいる対象も、測定精度も、根拠の検証方法もまったく異なる。

しかし、観測できる痕跡から、直接は見えない状態を推定し、過去の傾向を将来へ延ばすという抽象的な構造には、よく似たものがある。

参照元:地震調査研究推進本部「長期的な地震発生確率の評価手法について(追補)」

数式を使うか、経験則を使うか

占い師が必ずしも統計表を開いて計算しているわけではない。

しかし、長年の経験から、

「この年代なら親や仕事の悩みを抱えている可能性が高い」

「結婚指輪をしていれば、家庭に関する話題に反応する可能性がある」

「高価な占いに来る人は、すでに何らかの迷いを抱えている可能性が高い」

といった暗黙のベースレートを利用できる。

地震の長期評価は、地質調査や歴史記録から得られたデータを、明示された数理モデルへ入力する。

占いは対面経験から得た暗黙の確率/地震評価は調査データから計算する明示的な確率。

この違いは極めて大きい。

それでも両者は、

痕跡を観測する/過去の傾向を抽出する/見えていない状態を推定する/将来について確率的な言葉を返す

という似た力学を持っている。

決定的な違いは「当たり」の作り方にある

だからといって、地震予測と占いが同じものだという話ではない。

科学には、観測方法/使用したデータ/計算方法/不確実性を公開し、第三者が検証できるという原則がある。予測が長期的にどの程度の頻度で当たったのか、同じ条件で再現できるのか、新しい証拠によってモデルをどう修正するのかも問われる。

コールドリーディングは、目の前の一人に「当たっている」と感じさせる方向へ情報を更新する。

科学的な確率評価は、多数の事例を積み重ねたとき、予測した確率と実際の発生頻度が整合するかを検証する。

占いは個人の主観的な的中感を作る/科学は集団的な予測精度を検証する。

ここには明確な境界がある。

それでも、報道された瞬間に似てしまう

2026年8月、地震調査研究推進本部は、近畿地域の45の活断層を対象に、M6.8以上の地震が今後30年以内に発生する確率を、全域で50~60%と評価した。

これは特定の市町村で50~60%という意味ではない。近畿地域を複数の区域に分け、45断層をまとめて評価した地域確率である。

行政が道路/水道/鉄道/病院/避難施設などの耐震化に優先順位を付ける資料としては、意味がある。

しかし、市民に渡される情報が、

「近畿のどこかで」

「30年以内に」

「M6.8以上が」

「50~60%」

だけなら、個人の行動には変換しにくいままである。

30年という長い期間/近畿という広い範囲/45断層の合算/起きない側も40~50%残る確率。

地震が起きれば「予測されていた」と言える。起きなくても「発生しない可能性も示していた」と言える。

この性質だけを切り取ると、期限や対象を広く取り、受け手が自分の事情を当てはめる占いの言葉と似てくる。

参照元:地震調査研究推進本部「近畿地域の活断層の長期評価(第一版)のポイント」

地震本部も、この問題を知っている

実は、地震調査研究推進本部自身も、確率の伝え方に問題があることを認識している。

2016年の熊本地震発生時、布田川断層帯の30年以内の発生確率は、ほぼ0~0.9%と評価されていた。

そのため地震本部の資料には、低い数字が降水確率のように受け取られ、かえって安心情報になっているとの指摘や、防災・減災行動につながる分かりやすい表記が必要だという問題意識が記されている。

つまり、計算が科学的であることと、その数字が人を適切な行動へ導けることは、別の問題なのだ。

参照元:地震調査研究推進本部「活断層長期評価の表記見直しについて」

科学が占いになる場所

地震の長期評価と占いは、同じものではない。

一方は、物理的な痕跡と公開された統計モデルに基づく科学的評価である。

もう一方は、人間観察/経験則/一般的な確率/相談者の反応を組み合わせ、個人に向けた意味を作る技法である。

しかし、どちらも痕跡を読み、過去から見えないものを推定し、未来について語るという力学を持っている。

そして科学的な評価であっても、計算過程や利用目的を取り除き、

「N1年以内に、N2以上が、N3%の確率で起きる」

という言葉だけを市民へ渡せば、受け手にとっては占いに近づいていく。

問題は、予測が科学か占いかではない。

その情報を受け取った人が、何を判断し、何を変えられるのか。

確率を示しただけで終わるなら、それは観測結果である。

確率から地域ごとの震度/建物の倒壊可能性/必要な補強/避難経路/使うべき予算まで示して、初めて防災情報になる。

占い師は、人を見ながら言葉を変える。

地震報道は、数字が変わっても最後の言葉を変えない。

「日頃から備えてください」

それなら、どちらが本当に受け手を見ているのだろうか❓️

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